第33話 中ボス

2020年12月20日

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 四階に到着する。

「次は西側だ」

「モンスターハウスはもうないんだね」

「六階と八階にあるな」

「……もしかして、どっちとも入る気なのか?」

「三階のが外れたから当然だ」

 当然そうにいうペペロンを見て、

「付いてきたの間違いだったかもしれないわね」

 とメナーシがロックに耳打ちする。

「これも修行だと思うんだ……!」

 小声でロックは返答した。

「パナ~……あそこみたいな場所に二回も行かなくちゃならないんだって」

 リーチェが、顔を青ざめさせている。

「なるべく足を引っ張らないようにしねーとな」

「だねー」

 パナはそれ以外に、少しでもペペロンに近づけるよう、強くなりたいと思っていた。
そのため、自分に近い特徴を持つガスの動きを隙があれば見ていた。

(さっきの戦闘では敵を引き付けて、ほかの者の負担を軽くしていた。ああやって、ほかの者の戦闘の補助をするのが、私の役目かもしれないな)

 ガスの動きを見て、パナはそう思った。
 西側にある転送陣に近づいた。
 上から何かが落ちてくる。

 ガードウォリアーだ。一階に出てきた奴と同じである。それが七体落ちてきた。

 この転送陣に近づいたとき、出てくるガードの種類は一階以外はランダムだ。種類はガードウォリアー、ガードウルフ、ガードスパイダー三種類。一番強いのはウォリアーで、一番弱いのはスパイダーである。

 一番強いウォリアーとはいえ、あっさりと退治する。
 そして、転送陣に再び光がつく。
 ペペロンは乗る前に、

「次、中ボスが出るから、心の準備をしておけ」

 と促した。

「中ボス?」

 リーチェが尋ねる。

「ガードツインドラゴンの事ですね」

 ノーボが答える。

「強いんですか?」

「ええ、頭が二つあるドラゴン型の守護ゴーレムです。普通の守護ゴーレムとは比べ物にならないくらい、強力ですね」

 眼鏡のずれを直しながら、ノーボはガードツインドラゴンについて説明をした。

「ド、ドラゴンですか……」

 ドラゴンはこの世界では、最強クラスのモンスターだ。
 それを模っているゴーレムだという事で、かなり強そうだという印象を受けた。

「では行くぞ」

 ペペロンは合図をして、転送陣に足を踏み入れた。ほかの者もそれに続いた。

 ○

 五階はほかの階とは、内装が違っていた。
 ほかの階は、床が灰色なのだが、この階は青い、壁も同じく青い。
 リーチェは恐る恐る、周りを見てみるが、ガードツインドラゴンはいないようである。

「北にある転送陣に近づくと、部屋の中央にガードツインドラゴンが現れる。ほかのガードと同じく倒すまで転送陣は使えない」

 ペペロンがそれだけ言って、北側に向かった。転送陣がある。
 それに近づいた。
 すると、

「グオオオオオオオオオオ!!!!」

 という大声が、部屋全体に響き渡った。音の発生源は頭上である。

 そして、床が揺れると共に、ズドン!! という大きな音が鳴り響いた。

「来たな。倒しに行くぞ」

 部屋の中央に戻る。
 そこには、頭が二つある、青いドラゴン型のゴーレムがいた。
 想像以上に巨大だ。巨人のノーボが、小さく見えるくらいだ。

「こ、これ倒せるんですか? ぺペロン様~」

 リーチェが不安そうに尋ねる。

「それなりに強い敵だが、普通にやれば確実に倒せる敵だ。やろうと思えば私一人で倒せるため、この人数なら確実に倒せるだろう」

 その言葉を聞き、少し安心するが、

「ただ、リーチェ、パナ、お前らは一度攻撃を食らったら、致命傷になる可能性もある。なるべく前に出ず、後ろで援護に徹しておけ」

「ち、致命傷?」

「え、援護って、とりあえず魔法を使っておくか」

 あまり得意ではないが、一応魔法を使うことは出来る。今回は近づかず、魔法を使う事に徹する事にした。

「では、行くぞ」

「行くよーぺペロン様ー!」

「あいてが一体だと、オイラも接近戦でやるしかねーか」

 ペペロン、ガス、ファナシアが同時にガードツインドラゴンに突っ込んで行く。
 まずは、頭を一本潰す事に専念する。一個なくなれば、相手はだいぶ弱体化する。

「僕達も遅れを取れないぞ!」

「ああ!」

 前衛のロックと、バーンが、飛び出して行った。
 そして、ノーボとメナーシ、それからリーチェとパナが、魔法で攻撃する。

「あなた巨人なのに、何でそんなに魔法使えるのかしら?」

 通常、魔法の苦手な巨人が、やたら高度に魔法を使っているところを気になっていたメナーシが、戦闘中にも関わらず質問した。

「修行の成果です」

「そこまでなれるものかしらね」

「ぺペロン様が、いい修行法を教えてくださったので」

「へー」

 のんきに会話をしているようだが、魔法は使い続けている。

 ガードツインドラゴンも、黙ってやられているだけではない。尻尾を振り回したり、爪で斬り裂いてきたりする。ぺペロン達は、その攻撃を全て防ぎきる。

 集中攻撃を加えられている方の頭が、うなだれて動かなくなった。一斉攻撃を加えられて、ひとたまりもなかったのか、僅か数分で機能停止したよう。

 片方の頭が機能停止したことで、体がバランスを崩したのか、うまく動けなくなる。その隙に、もう片方の頭に集中攻撃を加えた。

「グオオオオオオオオオオオオオオ!!」

 残った頭は、反撃する事も出来ず攻撃を受け続けて、そして機能停止。体全体も動かなくなる。
 ガードツインドラゴンを倒すことに成功した。

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