第33話 中ボス
四階に到着する。
「次は西側だ」
「モンスターハウスはもうないんだね」
「六階と八階にあるな」
「……もしかして、どっちとも入る気なのか?」
「三階のが外れたから当然だ」
当然そうにいうペペロンを見て、
「付いてきたの間違いだったかもしれないわね」
とメナーシがロックに耳打ちする。
「これも修行だと思うんだ……!」
小声でロックは返答した。
「パナ~……あそこみたいな場所に二回も行かなくちゃならないんだって」
リーチェが、顔を青ざめさせている。
「なるべく足を引っ張らないようにしねーとな」
「だねー」
パナはそれ以外に、少しでもペペロンに近づけるよう、強くなりたいと思っていた。
そのため、自分に近い特徴を持つガスの動きを隙があれば見ていた。
(さっきの戦闘では敵を引き付けて、ほかの者の負担を軽くしていた。ああやって、ほかの者の戦闘の補助をするのが、私の役目かもしれないな)
ガスの動きを見て、パナはそう思った。
西側にある転送陣に近づいた。
上から何かが落ちてくる。
ガードウォリアーだ。一階に出てきた奴と同じである。それが七体落ちてきた。
この転送陣に近づいたとき、出てくるガードの種類は一階以外はランダムだ。種類はガードウォリアー、ガードウルフ、ガードスパイダー三種類。一番強いのはウォリアーで、一番弱いのはスパイダーである。
一番強いウォリアーとはいえ、あっさりと退治する。
そして、転送陣に再び光がつく。
ペペロンは乗る前に、
「次、中ボスが出るから、心の準備をしておけ」
と促した。
「中ボス?」
リーチェが尋ねる。
「ガードツインドラゴンの事ですね」
ノーボが答える。
「強いんですか?」
「ええ、頭が二つあるドラゴン型の守護ゴーレムです。普通の守護ゴーレムとは比べ物にならないくらい、強力ですね」
眼鏡のずれを直しながら、ノーボはガードツインドラゴンについて説明をした。
「ド、ドラゴンですか……」
ドラゴンはこの世界では、最強クラスのモンスターだ。
それを模っているゴーレムだという事で、かなり強そうだという印象を受けた。
「では行くぞ」
ペペロンは合図をして、転送陣に足を踏み入れた。ほかの者もそれに続いた。
○
五階はほかの階とは、内装が違っていた。
ほかの階は、床が灰色なのだが、この階は青い、壁も同じく青い。
リーチェは恐る恐る、周りを見てみるが、ガードツインドラゴンはいないようである。
「北にある転送陣に近づくと、部屋の中央にガードツインドラゴンが現れる。ほかのガードと同じく倒すまで転送陣は使えない」
ペペロンがそれだけ言って、北側に向かった。転送陣がある。
それに近づいた。
すると、
「グオオオオオオオオオオ!!!!」
という大声が、部屋全体に響き渡った。音の発生源は頭上である。
そして、床が揺れると共に、ズドン!! という大きな音が鳴り響いた。
「来たな。倒しに行くぞ」
部屋の中央に戻る。
そこには、頭が二つある、青いドラゴン型のゴーレムがいた。
想像以上に巨大だ。巨人のノーボが、小さく見えるくらいだ。
「こ、これ倒せるんですか? ぺペロン様~」
リーチェが不安そうに尋ねる。
「それなりに強い敵だが、普通にやれば確実に倒せる敵だ。やろうと思えば私一人で倒せるため、この人数なら確実に倒せるだろう」
その言葉を聞き、少し安心するが、
「ただ、リーチェ、パナ、お前らは一度攻撃を食らったら、致命傷になる可能性もある。なるべく前に出ず、後ろで援護に徹しておけ」
「ち、致命傷?」
「え、援護って、とりあえず魔法を使っておくか」
あまり得意ではないが、一応魔法を使うことは出来る。今回は近づかず、魔法を使う事に徹する事にした。
「では、行くぞ」
「行くよーぺペロン様ー!」
「あいてが一体だと、オイラも接近戦でやるしかねーか」
ペペロン、ガス、ファナシアが同時にガードツインドラゴンに突っ込んで行く。
まずは、頭を一本潰す事に専念する。一個なくなれば、相手はだいぶ弱体化する。
「僕達も遅れを取れないぞ!」
「ああ!」
前衛のロックと、バーンが、飛び出して行った。
そして、ノーボとメナーシ、それからリーチェとパナが、魔法で攻撃する。
「あなた巨人なのに、何でそんなに魔法使えるのかしら?」
通常、魔法の苦手な巨人が、やたら高度に魔法を使っているところを気になっていたメナーシが、戦闘中にも関わらず質問した。
「修行の成果です」
「そこまでなれるものかしらね」
「ぺペロン様が、いい修行法を教えてくださったので」
「へー」
のんきに会話をしているようだが、魔法は使い続けている。
ガードツインドラゴンも、黙ってやられているだけではない。尻尾を振り回したり、爪で斬り裂いてきたりする。ぺペロン達は、その攻撃を全て防ぎきる。
集中攻撃を加えられている方の頭が、うなだれて動かなくなった。一斉攻撃を加えられて、ひとたまりもなかったのか、僅か数分で機能停止したよう。
片方の頭が機能停止したことで、体がバランスを崩したのか、うまく動けなくなる。その隙に、もう片方の頭に集中攻撃を加えた。
「グオオオオオオオオオオオオオオ!!」
残った頭は、反撃する事も出来ず攻撃を受け続けて、そして機能停止。体全体も動かなくなる。
ガードツインドラゴンを倒すことに成功した。
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