第26話 今後の方針

2020年12月20日

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「さて、今後の方針を決めたので、聞いてくれ」

 ペペロンは拠点に戻り、主要な部下6人を屋敷に集めて、今後の方針についての話し合いを始めていた。

「遺跡を探索することにする。有用な魔法を覚える事が出来る魔法の書を獲得したい。魔法の書以外にも、珍しい作物の種、珍しい建物を作れるようになる設計図、その建物の材料に出来る資材など、遺跡に行けば色々と有用なものを獲得できるようになる」

「いいお考えだと思います」

 ララが賛同した。

「メンバーはどうするんですか? 全員では行きませんよね?」

 エリーが尋ねる。

「私、ガス、ノーボ、ファナシアで行こうと思う。ララとエリーとポチは、拠点に残ってくれ」

「ええ!?」

 ララが驚愕して叫ぶ。

「あ、あの……エリーは技術研究で忙しいからいけないですし、防衛力を保つため、ポチを残すのは分かりますが、な、何故、私は居残り組みなのでしょうか」

 動揺しながらララはペペロンに尋ねた。

「新しい住民達の分の家や食料はまだ完全ではない。奴隷だった頃に比べてましであるため不満の声は上がっていないが、不自由を強いている状態である。衣食住を約束したからには一刻も早く、村を発展させる必要があるため、私の代わりに村を導くものが必要だ。私がここを離れるあいだ、誰が私の代わりになるのかと言ったらそれはララしかいないだろう」

「ペ、ペペロン様」

 自分が信頼されていないため、遺跡探索のメンバーに選ばれなかったと思っていたララであったが、実は誰よりも信頼されていたとペペロンの言葉で分かり、ララは感激する。

「分かりました! 必ずやペペロン様の期待に答えてみせます!」

 元気な声でそう返答した。

「それでは、村の者を集めて遺跡探索に行く事を伝える。しばらくはララが私の代わりだと言っておく必要もあるからな」

「さっそく集めてまいります!」

 ララが元気良くそう言って配下達を集めに行った。

 ○

「なんだろうね。ペペロン様からの話って」

「さあな」

 パナとリーチェは、ペペロンから話があるから、集まるようにとララに聞いて、村長の屋敷の前に向かっていた。

 いつもぶっちょう面のパナだが、何となく口元が緩んでいるような感じで村長の屋敷に向かっている。そんなパナのようすを見て、リーチェが、

「パナ、何となく楽しそうだね」

 と言った。

「は? べ、別に楽しくねーよ」

 パナは少し慌てながら否定する。

「本当ー? 顔緩んでたよ? ペペロン様と会えるのが嬉しいんでしょう」

「ち、ちげーよ!」

 パナは顔を赤くして否定する。

「うわー。分かりやすい反応するなー」

「何が分かりやすいんだよ……」

 パナはリーチェを睨む。

「ごめんごめん。私は見守っているけど、相談に乗って欲しい時は乗ってあげるね。確かにペペロン様は素敵な人で手が届かないと思うだろうけど、小人の子はパナ以外いないんだから、全然可能性あると思うよ」

「お、お前なんか勘違いしてんだろ! 可能性ってなんだよ! 何の可能性だ!」

 パナは相変らず顔を赤らめながらそう言った。

 その後、2人は屋敷の前に到着する。
 既に住民達が集まっており、ペペロンはその前に立っていた。
 しばらく、集まるのを待つ、そして、

「全員集まりました」

「そうか」

 ララが住民が全員集まったのを確認して、ペペロンに報告した。

「重要なお知らせがあるから、皆良く聞いてくれ。しばらくのあいだ、私、ノーボ、ファナシア、ガスの4人は遺跡探索に遠征をする。その間、私は当然この町にいないので、しばらくはララが私だと思って、きっちりと指示に従うように」

 ペペロンが村からしばらくいなくなるという報告に、少し住民達はざわつく。しかし、ララに対する信頼も厚かったので、不安を口にする者はいなかった。

「出発は3日後だ。それではこれで話は以上だ」

 そう言って、ペペロンは屋敷に入っていった。

 住民達は、自分達の仕事に戻っていく。

 パナは、ペペロンが屋敷に戻っていったあとも、呆然としながら屋敷の扉を見ていた。

 あれ? 何で私こんなにショックを受けているんだ? と思うほど、パナはペペロンがしばらくいなくなるということにショックを受けていた。

「パナ……これはチャンスだよ!」

 いきなりリーチェがそんな事を言ってきた。

「どういうことだよ?」

 少しイラついた感じで、パナはリーチェに聞き返す。

「遺跡の探索についていけるよう、頼み込んでみよう!」

「は、はぁ? 無理だろ」

「わかんないじゃん。別に4人で行かないといけないなんて事はないと思うよ」

「いや……私たちみたいに弱いのがついていけるわけないだろ」

「確かにあんまり強くないけど、パナはピッキングできたりするし、私は……まあ、私も何か頑張るし!」

「何かって何だ! 私は確かにピッキングできるが、あのガスってゴブリンの方が、私より圧倒的に鍵開けが上手い。私じゃ役に立てないだろ」

「そうかもしれないけどー……やっぱ頼み込んでみようよ! やる前から諦めるのはよくないよ。もし、良いって言われたら、しばらく一緒に旅できるんだよ。だいぶお近づきになれるんだよ、ペペロン様と、チャンスだよ今回は!」

「う…………」

 パナは少し言葉に詰まる。確かにリーチェの言う通りだと思ったからだ。

「パナが行かないなら私だけでも頼んでくる。私はペペロン様たちと、もっと仲良くなりたいもん」

 とリーチェが1人でペペロンの屋敷に向かう。

「ま、待て、私も行く」

 パナはそう言いながら、リーチェについていった。結局2人でペペロンに遺跡への同行を頼み込む事になった。

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