ペペロン達が金稼ぎと町で取引をしていた頃。
ファナシアとガスは食料と水を取りに行っていた。
その時、とあるモンスターに出くわしていた。
「なーガスー、あれ食えるかなぁー?」
「あーどうだろう。食えるっちゃあ食えるかもな。まあでも進んで食うようなもんでもないよなー」
「ペペロン様は好きなのかなー」
「王様の好きな食べ物ってオレしらねーな。でも、あいつではたぶんないだろう」
「そうなのー……? うーん、じゃあやめとこうかなー喜んでもらえないかもしれないしー」
「好きではないけど、嫌いではないかも? 王様ならファナシアが頑張って取ってきたものなら、何でも喜びそうではあるがねー」
「本当!? じゃあ、さっそくあれ取って来る!」
「あー、行っちまった。ま、いっか。でもあの蛇、何でこんな所に居るんだ? 」
出くわしたモンスターはジャイアントアーススネーク。巨大な蛇のモンスターだ。
普通洞窟とかにいるのに、何でこんな所にいるのかとガスは疑問に思う。
ファナシアがジャイアントアーススネークに向かっていくのを見て、ガスは、
「まあ、あれの相手はファナシアで十分だなー。オレは水でも取ってくるかー」
ガスは近くにある川に水を汲みに行った。
ファナシアは凄まじい速さでジャイアントアーススネークに向かって走る。ジャイアントアーススネークはファナシアが来るのを察知し、シャー! と威嚇をする。
ファナシアは、両方の腰に片手剣を装備している。二刀流が彼女の戦闘スタイルだった。
ジャイアントアーススネークに接近すると、右の腰の剣を左手で、左の腰の剣を右手で抜く。
目にも止まらぬ速さで抜かれた剣が、ジャイアントアーススネークの首を斬る。綺麗に斬り裂かれ、ジャイアントアーススネークの首が落ちた。
「よーし、倒したー!」
ファナシアはもっているスキルが全て近接戦闘系のスキルで、ほかのスキルは一切無い戦闘マシーンだった。単純な戦闘能力だけならペペロンの次に強い。その反面頭は少しあれで、戦闘以外では役に立たないという欠点もある。
その後、ガスが水を汲んで来た。2人は水と蛇を持って拠点に帰還した。
○
ノーボとポチは資材集めを担当していた。
彼らは拠点南東にある森に来ていた。
「まずは、何を作るにも必要なのは木材です。ポチさんあなたの剣で木を切ってください」
ノーボがそう言った。ポチは背中にかなりデカイ剣を背負っているのだが、
「あのなぁ、ノーボ。俺の剣は木を斬るためのものじゃねーつーの。もっとあれだ、大事なもん斬るためのもんなんだよ。ペペロン様に立ちふさがる敵はこの俺がゆるさん! とかかっこよく決めているとき以外に抜いちゃいけねーんだよ」
「しかし、ほかに木を伐るための道具はございません。あなたのその無駄にデカイ剣は、木を伐るのに適しているように見えます。それともあなたの剣の腕で木を伐る事は不可能なのですか?」
「斬れるに決まってるだろ。俺はグロリアセプテムの切り込み隊長ポチ様だ! あの木くらい簡単に斬ってやろーじゃねーか!
……ってなるわけねーだろ! そんな手に騙されるか、馬鹿にしやがって」
「ファナシアに通じた手が通用するほど甘く無かったですか……まあ、でもほかに伐る方法ないので、ほんとさっさと伐ってください。ペペロン様のためだと思ってお願いします」
「はぁー。しゃーねーな。分かったよ。斬ってやるよ。斬ればいいんだろ」
だるそうに言いながら、ポチは背中から剣を抜き木を伐り始めた。
すぱすぱと、次々に伐れていく。
「木こりの人が涙目になるくらいのスピードで伐られていきますね。では運ぶのは私が担当いたしましょう」
ノーボは、伐られた木を取って運ぶ。巨人なので持てる量が多い。軽々と持って木を拠点へ運び込む。
長いこと作業をし、
「木はだいぶ集まったのでもういらないのですが、ちょっと伐りすぎですねポチ。かなり余計に伐ってしまってますよ」
あちらこちらに無駄に伐った木が散乱している。完全に環境破壊行為であった。
「はぁはぁ……だったら先に斬る量、教えろってんだよ。はぁ……おかげで無駄に疲れちまったじゃねねーか」
肩で息をするほど、疲労したようすのポチ。
「すいません。でも、だいたいわからないですかね? このくらいでいいかな? って」
「あー、木を斬ってたらだんだん楽しくなってきてよー。やめどきを失ったんだ」
「最初木を伐ることに抵抗を感じてませんでしたか、あなた」
「考えってーのは、変わるときは変わるもんだ」
「そうですか……それで木を運んだ後は、石材を運びたいのですが」
「まだやるのか!?」
「木だけでは足りませんよ。もっといろんなもの集めないと。森の中央部辺りでは、良質な石材が取れましたね。行きましょう」
今度は石を集めると決める。
森の中央辺りに行くと、岩石地帯があった。白い大きな岩がゴロゴロと転がっている。
「これも斬れってか? 刃こぼれするのはさすがに嫌なんだが」
「いえいえ、これは斬る必要ないですよ。私がやりますので」
と言ってノーボは拳を振りかぶり、そのまま石を思いっきり殴った。
ノーボの手は素手だが、それでも石は砕け散る。
「これを運びましょう」
「痛くねーのかてめーは」
「問題ありません」
「そうかい」
砕けた岩を運ぼうとすると、何やらゴゴゴゴゴゴゴと地響きが鳴り始める。
何事かと思うと、地面から何かが出てくる。
「あー、こいつぁ」
「ゴーレムですか」
人型の岩のモンスター、ゴーレムが出現した。
かなりの大きさだ。巨人であるノーボよりも大きい。
ゴーレムは手を振りかざして、思いっきりノーボに向かってパンチを放つ。
そのパンチをノーボは片手で軽く受け止め、
「その程度ですか」
と言った。ノーボがゴーレムの攻撃を受け止めているあいだ、ポチが素早く動き、ゴーレムの胴体を剣で斬る。グシャ! と斬るというより砕くような感じで、ゴーレムを破壊した。
「びっくりしましたが、幸運でしたね。ゴーレム石は普通の石より良質でかつ、加工しやすいのです」
「そりゃあいいな。じゃあ、運ぶかー」
ノーボとポチは普通の岩と、ゴーレム石を運ぶ。
これで木材と石材を集め終わった。
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