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第34話 モンスターハウス②

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「倒した……」

「こんな簡単に倒せるなんて」

「無傷だよね、私たち……」

 ガードツインドラゴンを無傷で倒せたことに、冒険者パーティーは驚いている。

「いやー、強いなー。僕達も前に倒したことあるんだけど、その時は、別のパーティーが二組いて、もっと人数が多かったし、それでもめちゃくちゃ苦戦して倒したし、こんな楽には倒せなかっ
たんだよ」

 ロックがぺペロン達の強さに再度感心する。

「この程度で苦戦しては、最上階にいるボスを倒せんからな」

「やはり最上階まで行く気なのか……」

 この塔のボスは、とにかく強いと言われている。今まで何人もの凄腕の冒険者が挑み、屠られてきた。
 ただ、ロックはぺペロン達ならば倒せるのではないかと思っていた。今まで生きてきて、ロックはぺペロン達以上に強い者達を、見たことがなかった。

「さて、先に行くぞ」

 一行は、北にある転送陣に乗り、六階へと転送された。

 それから六階のモンスターハウスを攻略する。
 難易度も三階のと同程度だったので、あまり苦戦はしなかった。
 宝箱から出た報酬は、今回もハズレ。金になる宝は出たが、本は出てこなかった。
 ペペロンとしては、三階と六階のモンスターハウスで、大したものが出るとは思っていなかった。出たらラッキーくらいの感覚だ。レアな物は、ボスを倒した後に出る宝箱と、それから八階のモンスターハウスを制圧後に出てくる宝箱に入っている可能性が高い。

 八階のモンスターハウスは、三階、六階のと比べると、難易度が上昇するのだが、レアな物が出る確率も上昇する。
 七階は普通にガードを倒して、上に上がる。この階から、出てくるガードの数が増えてくるが、どれだけいようとぺペロン達からすれば、雑魚でしかないので、倒すのはたやすい。
 そして八階に到着。

「南の転送陣を行けば、モンスターハウスがある」

「ま、また入るのか」

「でもぺペロン達がいれば、楽に倒せるから別にいいか」

「次のは難易度が上がるから、覚悟しておいた方がいいぞ」

「え……?」

「な、難易度上がるのか……?」

 冒険者パーティーはペペロンの言葉に、不安を感じた。
 南の転送陣に近づき、ガードウルフが出てきたので、殲滅。
 そして転送陣の上に乗った。

 ぺペロン達は、以前と同じく、真っ白い空間に転送される。
 するとモンスターが、次々と湧き出してくる。
 レッドドラゴン、ビッグポイズンスパイダー、ジャアントキラーベアなど、三階、六階に出現したのより、強力なモンスターが次々と出現する。

「こ、これ……」

 出てきたモンスターを見て、ロックは我が目を疑った。それも当然である。このモンスターハウスに出現したモンスターは、一体一体がパーティー全員で挑んで、ギリギリ倒せるか倒せないかというくらい、強力である。
 それが二十体同時に出てきたのだ。悪い冗談か何かだと、ロックは思った。
 何度か目を擦って見るが、目の前の光景は消えない。
 徐々にこれが現実の光景であると、認め始める。

「ぺ、ペペロン……これ」

 倒せるのか? ロックは尋ねようとすると、

「さて、行くぞ」

 三階、六階のモンスターハウスと、同じようにぺぺロンは号令をかけた。

「「「了解しました!」」」

 部下達も全く怯まず、ペペロンの号令に従う。相手がどんなに強力でも、ペペロンが余裕そうにしているのなら、部下たちは怯まない。それだけペペロンへの信頼が厚いのだ。
 そして戦闘が始まる。

「今回は私も本気で行く」

 そう言って、ペペロンが真っ先に動き出した。ファナシアと同等かそれ以上の速度で、動き始める。
 実はぺぺロン、先程まで手を抜いて戦っていた。鍛錬を積み、究極までステータスを伸ばしたペペロンだったが、一つ弱点がある。それはスタミナだ。
 小人には、種族としてステータスが、全体的に低いというのの他に、スタミナが物凄く上がりにくいという弱点があった。ペペロンも、スタミナは平均以上はあるが、十分にあるとは言い難かった。

 スタミナがなくなると動けなくなる。本気を出すと大幅に消費するので、最初の弱い敵相手は手を抜いて、強い敵には本気を出して戦うことで、スタミナ切れを起こさないようにしていた。
 八階のモンスターハウスと、ボス戦だけ本気を出すとは行く前から決めていた。

 ペペロンの攻撃は素早く強力だが、それだけではない。敵に対する豊富な知識で、的確に弱点を突く攻撃をしていく。魔法が苦手なファナシアとは違い、ペペロンは魔法も得意なので、物理耐性は高いが、魔法耐性は低いという敵も、簡単に倒していく。
 ファナシア、ガス、ノーボは少し遅れて動き出す。そのほかの者は、唖然とした表情でペペロンの活躍を見ていた。

「ぺ、ペペロン様……す、すごい」

 リーチェは、ペペロンへの尊敬の念を大きくする。

「……」
 ロック達は、あまりの光景に口をポカンと開けたまま、一言も喋れなかった。

「ぼ、僕たちも戦わないと!」

 しばらくしてロックが放った一言に、パーティーメンバーが我に帰って、戦闘を開始する。
 結局ペペロンが本気を出したおかげで、三階、六階と変わらないくらいのスピードで全滅させた。

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