ぺペロン達はボルフの塔近くの町、ラーバルに訪れていた。
ぺペロンは以前、町に入った瞬間、犯罪者扱いされた経験があった。
なので、警戒しながら街に入ったが犯罪者扱いされることは無かった。
侮蔑の目で見られるが、特に危害を加えられることは無い。
どうやら、前の町は特別差別意識が強い町だったようだ。
ぺペロン達は侮蔑の視線は気にせず歩く。
目的地は冒険者ギルド。
モンスターを倒した時、素材などをひそかに集めていた。
それを売るため冒険者ギルドに向かっている。
冒険者ギルドでは、普通の店よりもモンスターの素材を高い値段で買い取ってくれる。
売ったあとは、食料などの冒険に必要な道具を買うつもりでいた。
しばらく歩いて冒険者ギルドに到着する。ぺペロン達は中に入った。
入った瞬間、中にいた冒険者たちがぺペロン達に視線を向ける。
そしてクスクスと笑い出した。
「感じ悪いなー」
ファナシアが怒ったような表情で呟く。
「相手にするな」
ぺペロンは、ファナシアをなだめる。
ここで怒って喧嘩を売っても何も得はない。
ぺペロンは受付まで歩く。
「何しに来たんだ? ここはてめーらみたいなのが来る場所じゃないぞ?」
受付の男がそう言った。
どう考えても客に対する態度ではない。
受付の頭の中ではぺペロン達は客ではないのだろう。
「モンスターの素材を売りに来た」
態度を気にすることなく、ぺペロンは素材の入っている袋を受付に見せた。
「……これは……てめーらが狩ったのか?」
「そうだ」
「ホーンラビットの角やシルバーウルフの爪はともかく……キラーベアの毛皮? お前ら盗んだんじゃないだろうな?」
ぺペロンはまた犯罪者扱いかと少し呆れる。
「自分たちで倒して、自分たちで収集した」
「……少し怪しいが、それだけの人数がいれば劣等共でも倒せるものなのか……? まあ、いい。買い取ってやる」
受付は袋から素材を取り出して、そして金をぺペロン達に支払う。
「全部で500Gだ」
ぺペロンは500Gを受け取る。
冒険者ギルドから出るため、歩き出す。
すると、
「おいお前ら結構金貰ったようじゃねーか。本当にてめーらが倒したのか?」
「盗んだんだろ? 正直に言えよ」
冒険者の男二人に絡まれる。どちらとも竜人だ。
竜人は体が竜の鱗で覆われ、トカゲのような尻尾をつけている種族だ。
ぺペロンは相手をするのも面倒だと考えて、スルーしようとする。
しかし、
「何無視しようとしてんだてめー!」
「雑魚種族のくせに調子に乗りやがって!」
竜人の男はぺペロンの腕を取る。
その瞬間ファナシアが超反応をして、男の首を取ろうとする。
ぺペロンは慌てて、
「やめろ」
と言った。
ファナシアは竜人の男の首を斬り飛ばす寸前で、剣を止めた。
「な……!」
まったく剣を追えていなかった竜人の男は、剣を見て顔を青ざめさせる。
そして、腰を抜かしてその場で座り込んだ。
ぺペロンは何も言わずそのまま冒険者ギルドを後にした。
「な、何者だあいつら……!」
男はそう呟きながら、青ざめた表情でぺペロン達を見送った。
ぺペロン達は外に出る。
そして、
「ファナシア、あそこで騒ぎを起こしても、我々に何の得もない。あの手の輩は無視しておけばいいのだ」
「う……ごめんなさい……あいつがぺペロン様に手を出したから」
「まあ、私を守ろうとした気持ちはうれしい。今度から気を付けてくれ」
「はぁい……」
ファナシアはしょぼくれた表情で返事をした。
その後、ぺペロン達は市場で買い物をして、食料を買う。
塔は大きく短時間で攻略できない可能性があるので、それなりの量の食料を買い込んだ。
そしてぺペロン達は、町を出てボルフの塔へと出発した。
○
ラーバルから歩いて30分ほど、ボルフの塔付近に到着。
赤黒い色をした塔が、空に向かって伸びている。
かなりの高い塔で、てっぺんは雲にかかるかというくらい高い。
「塔の周辺には守護するガードウルフという、狼型のゴーレムが大量にいる。こいつらを倒して中に入るぞ」
「「「はい」」」」
部下たちは返事をする。そして全員で塔に向かって歩き出した。
すると、
「ちょ、ちょっと君たち!」
男の声が聞こえてきた。
ぺペロンは振り返ると、冒険者の格好をした人間の男女4名がいた。
「君たちあの塔に行く気か?」
「そうだが」
「やめておいた方がいいぞ。あの塔は生半可な実力の物ではどうしようもない。君たちでは難しいだろう」
男はぺペロン達に忠告してきた。
ぺペロンは男たちの態度を見て、
(こいつらはそこまで悪党じゃなさそうだな。一応心配して言っているみたいだし。でも、下に見ているのは間違いないだろうけど)
そう思った。
「それなりの難易度があるのは承知しているが、特に苦戦するほど難しくはない。心配は無用である」
「い、いやだから承知してないって! 俺たちはAランクの冒険者だけど、その俺達でも結構苦戦するような場所なのに」
言葉で説明しても分からないだろうと判断したぺペロンは、無視して塔に向かって歩き出す。
ぺペロンの後を部下たちが付いてくる。
「あ、待ってくれ!」
男も慌てて付いてきた。
そして塔のすぐ近くまで到着する。
大量のガードウルフが塔の近くにいて、一斉に視線をぺペロン達に向けて来た。
「さあ、蹂躙するぞ」
大量のガードウルフ対ぺペロン達の戦いが始まった。
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