第十二話 ダンジョン強化②
現在所持しているDPは、27000DPだ。
まずリックは1000DPを使い、ダンジョンの3階を作った。
「四階も作ったほうがいいかな?」
「いえ、それよりもまずは拡張と、フィールドチェンジをするべきなのです」
「何それ?」
「拡張は階の部屋を大きくするのです。フィールドチェンジは、今ある、ただのまっ平らで面白みの無い部屋を、魔物に有利になるような部屋に変更するのです。拡張を一度行わないと、フィールドチェンジはできないのです」
「魔物に有利になるような部屋って、なんなの?」
「建造物が出来たり、地形が変わったりと、様々なのです。ただ何のフィールドになるかは、完全にランダムなのです」
「え? ランダムなの?」
「ええ、でも魔物に不利になるような部屋になることは無いので安心するのです。当たり外れはあるのですが」
「ふーん、やってみようか」
リックは分厚くなったカタログを開く。
拡張は一階の場合は1000DPで、二階の場合は2000DP。下の階になればなるほど倍々に上がっていく。
フィールドチェンジは1500DPで、かかるDPは上がらないらしい。
「じゃあ一階を拡張しよう。よろしく」
「はいなのです!」
ユーリが返事をした後、ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴと、地響きが起こる。
拡張を行っているみたいだ。
しばらくすると地響きが収まる。
「終わった?」
「終わったのです。高さが7倍。面積が15倍ほど増加したのです」
「そんな大きくなるの!?」
「これで上にあった森と、同じくらいの広さになったのです」
「あの森はそこまで大きくないけど、大分広くなったね。じゃあ二階もやろうか」
二階も同じように拡張する。
「次は三階だね」
「三階はちょっと高くなるので今は止めておいたほうがいいと思うのです」
「あ、そう。じゃあやめよっか」
拡張は二階までにすることにした。
「じゃあ次はフィールドチェンジだね。お願い」
「はいなのです!」
監視玉に映っていた一階が変化していく。
床が上昇していき、複雑な模様を作り出す。
「お! 『迷路』なのです!」
「迷路かーそんなダンジョン確かにあったなぁ」
「この迷路はどんな魔物を配置しても確実に有利に立てるのです。当たりですよこれは」
「そうなんだ。所で監視玉なんだけど、部屋が大きくなったから全部写らないんだけど」
「ああ、忘れていたのです」
ユーリがパンと手を叩いた。
すると、地図が出てきた。
複雑な模様が描かれており、真ん中に円が右端には1234と数字が書かれている。
「これは?」
「一階の地図なのです。真ん中の円は現在、監視玉に写されている場所で、他の場所に触れると、見る場所を移せるのです。やってみるのです」
リックは地図に人差し指で触れる。
円が触れた場所に移動し、監視玉で映されている場所も変わった。
「おお」
「ちなみに今はいないので、表示されてないですが、魔物がいる場所には青い丸が表示されるのです。横にある数字は触れると、見る階を変えることができるのです。これもやってみるのです」
リックは2に触れてみる。
地図から複雑な模様が消え、単純な正方形になり、
監視玉には二階が映し出された。
「本来ならFランクから変更できるのですが、忘れていたのです。ごめんなさいなのです」
「いいよいいよ別に、特に問題が発生したわけじゃないし。じゃあ、次は2階をフィールドチェンジしようか」
「はいなのです!」
二階が変わり始める。
木が生えてきて森になっていく。
「森?」
「森なのですかね……あ、いや違うのです。これは『森と砦』なのです」
ユーリは地図を見てそういいなおした。
「森と砦って?」
「地図を見るのです。左はしに建造物があるように描かれているのですが、これが砦です。この砦は、次の階に行くための穴を守っているのです。そして砦を囲むように森になっています。この階には森でより力を発する魔物を置きたいのです」
「森で力を発する魔物か……」
昆虫とか植物系の魔物だろうとリックは推測する。
「じゃあ次は魔物を作りたい所ですが……あ、その前に『ビルベシュ養殖所』を作るべきなのです」
「何その、ビルベシュ養殖所って」
「ビルベシュとは、虫の名前なのです。ビルベシュは1DPほどの消費で成虫になり、成虫が死んで吸収されると5DPになる虫なのです」
「つまり、DPを稼げるってこと?」
「そうなのです。ビルベシュは成虫になるまでが一週間ほどと短く。卵を産んだ次の日くらいには死ぬのです。Eランクで作れる養殖場は小型で、大体一月に500DPほど獲得できるのです」
「管理はどうするの?」
「低級の精霊を作って管理させるのです。ちなみにビルベシュ養殖所は5000DPで作れるのです。精霊を作るDPもその中に入っているのです」
「5000DPか、でも毎月プラスがくるなら、作っておいたほうが得だよね。作ろう」
「じゃあ作るのです。二階に作ったほうが、いいと思うのですがどうするですか?」
「うん。二階に作ろうか、場所は隅っこの方がいいかな。この辺で」
リックは地図を指差して、作る場所を指示した。
「じゃあ作るのです!」
先ほどリックが指差した場所に、建物を現すマークが書かれた。
リックはそこに触れてみると、監視玉に小さな小屋が映し出された。
「じゃあ、魔物を作るのです! Eランクなので新しい魔物の卵が作れるですよ! カタログを見るのです!」
「新しい卵?」
リックはカタログを見ると、『魔物の卵E』と書かれた項目がある。消費DPは500DP
「これは?」
「GとFランクが出なくなり、Eランク以上の魔物が、出るようになる卵なのです。Eより上のランクの魔物も出やすくなるのです。と言ってもAやSは、ほぼほぼでないのです」
「Eランクの魔物って出てきたこと無いよね。合成したらどうなるのかな? 残りは15000DPだから、とりあえず10個作ってみよう」
十個作る。
Eランクが8。Dランクが2出てきた。
Eランクはポイズンスライム、オーク、スケルトンなど、
Dランクはケルベロス、スモールワームが出た。
「とりあえず全部合成しよう」
合成セット5個1250DPを消費し5体の魔物を作った。
完成したのは、ワイバーン、バジリスク、リッチ、ゴブリンキング、キングスライムが完成した。
「全部Aランクの魔物だね」
「偶然かもしれないのですが、もしかしたら、Aランクになる確率が上昇するのかもしれないのです」
「そうだねー」
Aランクの魔物達を見てリックは思う。
「これ、Aランクの魔物を二回合成して、SSランクの魔物を2体作ればもう無敵だよね」
「そうなのですね。やってみるのです!」
2500DPを使って、ワイバーン、バジリスクを合成した。
作られたのは……
赤色の大きなドラゴンだった。
「ファイアードラゴンなのです!」
「ファイアードラゴン……確かSランクの魔物だよね」
「そうなのです。強いですけどSSランクの魔物と比べると大分劣るのです」
「まあ勇者パーティーでも、結構倒してたからなぁ……」
どうやらAランク同士の魔物合成では、SSランクの魔物が絶対に作れるというわけではないようだ。
「もしかしたら、クルスちゃんを作れたのは、確率的に低いことだったのかもしれないのですね」
「そうなのかな? うーん……どうしようか」
「もし、また作れなかったらポイントが、ほとんど無くなっちゃうのです。SランクはAに比べるとかなり強いのですが、ダンジョンが広くなると、数が多いほうが、有利になるのです……」
「うーんそうだね……もっとDPが溜まってから、高ランク同士での合成はやってみようか。今は普通の魔物合成をやっておこうか」
「分かったのです」
「後、魔物の卵は前までのほうがいい気がする。Bが出ることもあるけど、数が多いほうがいいと思う」
「私もそれはそう思うのです」
リックは20の卵を作って10回、合成を行った。
作られたのはAが4、Bが6だった。
「うーん。ちょっとAランクの魔物が、少ないかな」
「仕方ないのです」
リックは魔物達をダンジョンに配置した。
ファイアードラゴンを3Fに置き。
他の魔物は均等に割り振った。
「残り何ポイントだっけ」
「えーと、1750DPです」
「うーんそうだな……1500DPくらい使って、錬金術でポーションを作ろう」
「え? 何のポーションなのです?」
「ゴールデンポーションって言って、飲んだ者のありとあらゆる能力を、一定時間上げるポーションなんだ。1500あれば魔物3体分作れると思う」
「へぇー」
「このポーションには体質のあった者に、特殊能力を与える効果もあってさ。うまくいけば大幅に強化されるかもしれない」
「ご主人様が作ったものなら凄い効果がありそうなのですね」
リックはカタログで材料を作り、錬金術の道具を置いてあるところに行く。
「ふぁー。なんじゃ。難しい話は終わったのかの?」
クルスは、ユーリとリックがダンジョン強化の話をしている間、
退屈なので、眠っていた。
「今から錬金術で、調合するところなんだ」
「調合か、わしは錬金術に興味があるのじゃ。見せてくれんか?」
「え? 別にいいよ」
「わしも錬金術。使えるようになるかの?」
「まあ錬金術は、知識があればそこまで難しくはないから……」
「本当か! じゃあわしにも錬金術を教えてくれ!」
「わ、分かった」
リックは調合のコツみたいなのを、クルスに話しながら、調合を行った。
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